“叱られているうちが華、叱られなくなったら終わり”とは世間でよく聞く言葉です。
また、その答えも開示されていて『期待されているからこそ叱る』となっています。
ただ若い子たちはその本質が理解できないのだと思います。
私が20代の頃もそうでした。
前職は典型的な体育会系気質の営業会社でしたので、毎日【定量的な成果】を求められます。
営業未経験からルート営業を始めた私は“真面目にやり続ければいつか報われる”精神で怒鳴られながら何くそと直向きに頑張っていましたね。
確かに千葉事業所で営業していた当時は、全国のルート営業ランキングが年々上がっていたので、パワハラ教育のなかでも自信を深めることができました。
その後、当時の部長から、都内の新規開拓営業への推薦がありました。
新規開拓営業職はルートに比べてインセンティブ歩合率が大きくなるため、いわゆるハイリスクハイリターンの給与形態に変わります。
夢のあるフィールド。検討に検討を重ね、良き理解者でもあった部長に『君の人生の糧となる』と後押しもあってチャレンジを決意しました。
そして私の人生においてターニングポイントとなる大きな挫折を味わいます。
自己流ながら約６年近く営業の自信をつけていたつもりでしたが、全く契約があがらず、アポイントすらとることができない日々。
自信はすぐに打ち砕かれ、現実を受け止められず、すぐにでも逃げ出したい思いで退職願いを出したことを覚えています。
大袈裟に表現すると、”Jリーグで活躍した選手が自信を持って海外移籍して現実を知る“といった感じでしょうか。
ただそこで、真剣に向き合ってくれた上司がいました。
『辞めるにしても、営業における山のてっぺんからの景色を見たことのある人間と見たことのない人間では、今後の人生において大きな差になる。辞めたいなら、てっぺん見てからでいいのではないか？覚悟を持って戦うなら、1年以内に山のてっぺんを見せてあげる』
と断言されました。
その上司は銀河系時代のレアルマドリードにおけるジダン（元フランス代表）のような魔術師みたいな方で、誰もが取れない契約を取ってくるようなトップクラスのプレイヤー兼マネージャーでした。
その言葉を受け止め、チャレンジを続けることとしました。
まずは私自身の今までの営業スキルを否定するところから始まります。
人間にとって、知識や経験を否定する、受け止めるということは想像を絶します。約6年間積み重ねたブロックを一振りで崩されるような感覚です。
突然ゲロ吐いたり、めまいで倒れたり、体調不良で自律神経の乱れがたくさん起きました。
ただ言われた言葉を信じ、『叱られているのは期待値があると思われている』と言い聞かせながら耐えました。
そんななか、大手居酒屋チェーンの大型契約を取ることに繋がります。やっぱり営業マンにとって、【契約締結】の瞬間は苦労の報われた瞬間と感じますからね。涙が出てきた記憶があります。給与も過去最高値を更新して、自信のご褒美及び辛い時に踏ん張れるお守りとして、50万弱の某高級腕時計も購入しました！
“人生が変わった”と思える天国と地獄のような体験といえます。
ときは経ちますが、当時指導して下さった上司には今でも感謝の念は尽きません。
一番の要因として、自分の営業経験の否定を受け入れつつ、上司のマインドを徐々にアップデートできたことにあります。
【印象に残っている言葉】
・真面目になれば契約とれるのか？
・安価で契約取れないのなら高く取れ。
・お客様は神様ではなく、対等であるべき。
・断り文句を全てクリアすれば契約になる。
・断られて当たり前、なぜなら困っていないから。
・半年で契約取れないなら、別の営業に譲りなさい。
・フットワークではなく、ヘッドワークを磨きなさい。
・サボることは悪いことではない。本気でサボれる人は勝ちパターンがある。（それかやばい奴）
当初は下記に並べた言葉の真意が全く理解できないところから、多角的な捉え方ができるようになってきたのが、成長の証です。
若い子や新卒者には、社会人の基盤がありません。基盤がないからこそ、指摘や助言、指南があるはずです。結果それが（感情論で）怒られるではなく、（業務において）叱られているのであれば、冒頭に述べた通り、期待され、教育されているのであると思います。
逆に30を超え、更に年齢を積み重ねるほど、“人生（考え方）を変える”には、私が経験したようなゲロを吐くくらいの覚悟がなければ変えられないことは間違いないと言い切れます。
とにかく自分に真剣に向き合ってくれる人と出会えることがら人生において大切なことであることは間違いありません。
ii-mon©︎